株主に対する受託者責任・説明責任をふまえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を目指し、
企業価値の向上により株主の正当な利益を最大化するようグループ企業を統治することが、当社取締役会にとっての責務です。
また、中長期的な観点からグループの企業価値を向上させるためには、株主以外のステークホルダーへの配慮も不可欠であり、適切に協働します。
そして、環境・社会・企業統治の側面から企業に求められている社会的責任を果たしていくことも、経営上の重要な課題です。
当グループの中核事業である教育分野や医療福祉分野の事業は、顧客と目的や価値を共有し、
良質な商品やサービスを適正な対価で提供することによる諸課題の解決を使命としており、
これらの取り組みを通して、社会的責任を果たします。
また、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会をはじめとして、株主との間で建設的な対話を行い、
その基盤となることもふまえ、適正な情報開示と透明性を確保します。
業務の適正性を確保するための体制(内部統制システム)を構築するために、
2006年5月の取締役会で内部統制システム構築の基本方針を決定し、
2006年10月に内部統制委員会を設置しました。
当グループにおけるコーポレートガバナンスの業務執行と監督機能は、取締役会および監査役会が担います。
取締役会
代表取締役を議長とする最上位のガバナンス機関であり、取締役12名で構成され、うち4名が社外取締役(独立役員)です。
会社法で定められた事項のほか、グループ全体に関わる経営方針について意思決定を行い、かつ、取締役の業務執行を監督しています。
監査役会
監査役4名で構成され、うち半数にあたる2名が社外監査役(独立役員)です。
監査役会事務局を設置し、監査の品質向上と効率性の確保に努めています。
- 拡大
- 取締役・監査役は株主総会によって選任・解任されます。
ガバナンス諮問委員会
第三者の立場で、内部統制を含む学研グループのガバナンスの状況を審議・答申する機関。
社外取締役4名、社外監査役2名および弁護士・公認会計士各1名(当社の顧問ないし会計監査人ではない)で構成されています。
取締役会はガバナンス諮問委員から半期に一度、ガバナンスに関する答申を受けるほか、
取締役会の実効性評価や主要株主との取引の合理性などについても、客観的な意見を聴取し、意思決定に反映しています。
指名・報酬諮問委員会
当社取締役、監査役の候補者指名および取締役の報酬についての客観性、透明性の確保を担っています。
代表取締役社長、社外取締役4名、社外監査役2名で構成され、取締役の選解任と報酬決定、代表取締役社長の後継者計画等について審議し、
その内容を取締役会に答申しています。
内部統制委員会
取締役会が定める内部統制システム構築の基本方針に従い、審議・決定を行います。
同委員会のもとには、「コンプライアンス」「情報セキュリティ」「リスク管理」「財務報告統制」「教育・研修」など
内部統制の重要課題への取り組みを推進する部会・チームが設けられています。
サステナビリティ委員会
サステナビリティを推進する体制として、設置されています。
気候変動、ビジネスと人権、生物多様性、ダイバーシティ&インクルージョンなど、サステナビリティの重要課題に取り組むべく、
「統合ディスクロージャー」、「サプライチェーン・マネジメント」、「人的資本」の3つの部会が活動しています。
学研グループでは、毎年、すべての役員および従業員を対象に、
コンプライアンス、リスクマネジメントを主要テーマにした
GRC研修を実施しています。
学研グループの事業のなかで起こりうるリスクを抽出し、
防衛策として行っているものです。
研修はおもにeラーニングで実施され、その内容は
社外の有識者で構成されるガバナンス諮問委員会のアドバイスにより、
日々の業務の具体的な事例を取り挙げるなどの工夫をしています。
また、「学研コンプライアンス・コード」の定着度、
「情報セキュリティポリシー」遵守状況のモニタリングを
定期的に実施しています。
※GRC…Governance Risk Compliance の略。
※グループ全役員・従業員対象…以下に該当する会社の役員・従業員については、
全部または一部カウントの除外となっております。
・グループが認定した研修を自社で実施している会社
・外国人従業員に別途周知を行っている会社
・eラーニングシステム未活用の会社(原則はオフライン教材で実施)
期 |
対象者数 |
受講完了者数 |
完了率 |
2020年9月期 |
15,401 |
15,401 |
100% |
2021年9月期 |
16,069 |
16,069 |
100% |
2022年9月期 |
16,828 |
16,828 |
100% |
2023年9月期 |
17,316 |
17,316 |
100% |
2024年9月期 |
18,735 |
18,735 |
100% |
サステナビリティの考え方 |
情報セキュリティ(基礎編) |
ビジネスと人権 |
情報セキュリティ(応用編) |
学研グループのサステナビリティへの取り組み |
情報セキュリティポリシー |
ハラスメント~だれの心にも潜むアンコンシャスバイアス |
テレワーク時の情報セキュリティ |
学研グループのダイバーシティ& インクルージョン |
学研グループのリスク管理について(管理者向け) |
働く人のメンタルヘルス |
社員としてのリスク管理 |
製品安全について |
財務報告に係る内部統制について(基礎編) |
コーポレートアイデンティティ「学研グループの羅針盤」 |
個人情報の管理について |
学研グループのコンプライアンスコード |
個人情報漏洩事故防止について |
コンプライアンスの重要性 |
内部統制委員会 |
下請法 |
DX(デジタルトランスフォーメーション)社内啓発 |
景品表示法の基礎 |
従業員の自己保健義務 |
インサイダー取引 |
働く人のための労務の基礎 |
健康経営 ウェルビーイング |
当社の取締役会は、その役割・責務を実効的に果たしているかを自ら評価・分析して、実効性の継続的な向上に取り組んでいます。
2024年9月、取締役全員および監査役全員に対してアンケートを実施し、その評価および分析を外部機関に依頼しました。
アンケートでは、
①取締役会の構成と運営(10問)
②経営戦略と事業戦略取(9問)
③企業倫理とリスク管理(4問)
④業績モニタリングと経営陣の評価、指名・報酬(5問)
⑤株主との対話(3問)
⑥2023年12月決定の行動計画への評価(2問)
以上の計33問に関して、点数化するアンケート(それぞれ評価の高い順番で5から1まで)を実施いたしました。
併せて上記①から⑥の大項目に対し、コメント・要望の記載を求めました。
- 大項目ごとの評価と評価の分布
- 全項目の評価の平均は4.2となりました。
- ポジティブな評価が大勢を占め、ネガティブな評価は少数にとどまり、
コメントにおいても、重要な不備の指摘はありませんでした。 - 大項目の評価においては、
『③企業倫理とリスク管理』が最も高い一方、
『②経営戦略と事業戦略』が最も低い結果となりました。
- 社内役員と社外役員の比較
- 社内役員と社外役員の比較では、全項目平均は社内役員の評価が0.1pt高い結果となりました。
- 最も評価の乖離があったのは、
『⑤株主等との対話』と『⑥行動計画への評価』であり、0.3ptの差が生じておりました。
- 取締役と監査役の比較
- 取締役と監査役の比較では監査役の評価が0.2pt高い結果となりました。
- 最も評価の乖離があったのは、
『②経営戦略と事業戦略』と『⑤株主等との対話』であり、それぞれ0.3ptの差が生じておりました。
- 前回(2023年9月実施)との比較
- 前回評価との比較において、全項目平均は前回比で0.2pt高い結果となりました。(前回4.0→今回4.2)
- 前回評価と比較し、最も評点が向上した項目は、
大項目『⑥行動計画への評価』であり、0.4pt高い結果となりました。 - 前回評価と比較し、評点が低下した大項目はありませんでした。
- 2023年12月決定の行動計画への評価
- 昨年度に識別した課題を踏まえた「2023年12月決定行動計画」は概ねポジティブに評価されました。
- ①「資本コスト・株価を意識した経営の実現」は、社外役員の方が社内役員より低く評価し、乖離がありました。
資本コストについて更なる議論の余地があるなどの指摘がなされました。 - ②「取締役会運営の見直し アフターコロナにおける社外役員間の情報共有を促進」は、大多数の役員がポジティブに評価しました。
- 更なる取り組みとして、より現場に近しい従業員等との接点を持つことなどが挙げられました。
- その他
- 外部機関の実施した同規模他社(時価総額250億円以上1000億円未満)平均と比較すると、
全項目評点は当社の方が高く評価されました。 - 大項目別では、同規模他社と比較して
『④業績モニタリングと経営陣の評価、指名・報酬』は比較的高めに評価される傾向にあり、
これらのテーマに対する取り組みは、当社の強みと考えられている結果となりました。
- 外部機関の実施した同規模他社(時価総額250億円以上1000億円未満)平均と比較すると、
- 以下の14問は、社内/社外役員とも高評価の回答結果となり、当社の強みとして認識されていると分析されました。
1-3 付議議案の適切性 1-4 取締役会の年間スケジュール
2-7 持続的な企業価値向上への取り組み 2-9 政策保有株式の保有の適否の検証
3-1 行動規範の制定と監督 3-2 内部通報制度の有効性
3-3 リスク評価プロセスの構築 3-4 重要リスクの報告と適切な対処
4-1 業績指標と経営指標の関連性 4-4 指名委員会の責務
4-5 指名委員会の情報入手体制 5-1 ステークホルダーとの協働
5-2 株主との建設的な対話を促進する体制構築 6-2 前回識別した課題への対応②
- 以下の9問は、社内/社外役員とも低評価の回答結果となり、当社の課題として認識されていると分析されました。
1-1 独立社外取締役の活用 1-2 取締役会の適切な構成
1-8 社外役員間の情報共有 1-10 役員トレーニング
2-2 戦略の包括的・多角的検討 2-4 実行計画の進捗状況の監視・監督
2-5 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
2-6 承認案件の成果・達成度の報告 2-8 人材育成にかかる監督
- 以下の4問は、社内役員の回答結果が平均以上にもかかわらず、社外役員の回答結果は平均未満と、社内役員と社外役員との間で認識に乖離があると分析されました。
1-7 自由闊達な議論 2-1 戦略の審議に必要な情報提供
5-3 サステナビリティ情報の開示にかかるリスク管理とガバナンス
6-1 前回識別した課題への対応①
分析結果を受けて、外部の有識者を構成メンバーとする当社のガバナンス諮問委員会で客観的な立場からの意見を聴取したうえで、
以下の通りに2025年9月までの行動計画を策定しました。
■実効性評価の分析結果により顕在化した課題に対応するため、以下の2つを課題として定める。
- 取締役会の運営改善
- 取締役会付議事項の適正化
グループ会社への権限移譲により付議件数の削減を進める。
書面による事前説明などの併用により、より重要性が高い議案の審議時間を確保する。 - 取締役会説明資料の充実
M&Aなどの投資案件の判断に必要な情報(市場性やシナジー効果等)を必ず記載する。
発議者は重点ポイントに絞った説明を心掛け、審議の充実を図る。
- 取締役会付議事項の適正化
- 経営戦略と事業戦略のモニタリング
- 過去の投資案件の成果・課題等の報告
中長期的な成長に向けた重要な投資案件等の進捗状況を取締役会で定期的に報告・協議する。
- 過去の投資案件の成果・課題等の報告
当社は、取締役及び監査役が備えるべき専門知識や経験などについて、
企業経営の基本スキルである「企業経営」「財務・会計」「法務・コンプライアンス・ガバナンス」、
当社の事業基軸である「教育事業」「医療福祉事業」「イノベーション(DX・BX)」「グローバル」、
持続可能な社会の実現や発展のために必要不可欠な「サステナビリティ(環境・人権)」「人事・人材開発・D&I」
を必要なスキルセットとしております。
氏名 |
当社における 地位 |
企業 経営 |
教育 事業 |
医療 福祉 事業 |
イノベー ション (DX・BX) |
グローバル |
財務・ 会計 |
法務・ コンプライアンス・ ガバナンス |
サステナビリティ (環境・ 人権) |
人事・ 人材開発・ D&I |
|
取締役 |
宮原博昭 |
代表取締役 社長 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
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福住一彦 |
取締役副社長 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
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小早川仁 |
取締役 常務執行役員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
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安達快伸 |
取締役 上席執行役員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||||
五郎丸徹 |
取締役 上席執行役員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||||
百田顕児 |
取締役 上席執行役員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
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山本教雄 |
取締役 上席執行役員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||||
細谷仁詩 |
取締役 上席執行役員 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||||
山田徳昭 |
社外取締役 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||||
城戸真亜子 |
社外取締役 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
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伊能美和子 |
社外取締役 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
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Caroline F. Benton |
社外取締役 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||||
監査役 |
小田耕太郎 |
常勤監査役 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
||||
藤島拓也 |
常勤監査役 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||||
山田敏章 |
社外監査役 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|||||
松浦竜人 |
社外監査役 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
当社は、「優秀な人材の確保と目標達成への動機付け」
「ステークホルダーとの価値共有」「コンプライアンス経営の推進」
などの視点から役員の報酬に関する基本方針を策定しています。
基本方針に基づき、業務執行取締役の報酬は、
基本報酬、業績連動報酬、株式報酬によって構成され、
業績連動報酬および株式報酬の導入により業績連動の比率を高めることとし、
株主総会で決議された限度内において、
指名・報酬諮問委員会の審議を経て取締役会で決定されます。
基本報酬
役位を基本とする月額報酬であり、その水準は、他社の水準、
ならびに当社の従業員給与および執行役員報酬等を参考にして決定します。
なお、基本報酬の個別の支給額決定に際しては、毎年査定を行い、指名・報酬諮問委員会に諮問し、審議結果の答申を尊重して決定します。
業績連動報酬
事前に目標を設定し、達成度に応じた報酬を支給する制度です。
業績連動報酬は、財務指標と非財務指標との2つの指標に基づく評価により構成されます。
業績連動報酬の個別の支給額決定については査定を行い、指名・報酬諮問委員会に諮問し、審議結果の答申を尊重して決定します。
株式報酬
譲渡制限付株式の内容等は、当社の事業環境、業績、株価推移その他の事情を勘案して、
当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして適切に機能するように、当社の指名・報酬諮問委員会への諮問等、
客観性、透明性を担保した手続きを経て、株主総会にて承認された範囲内にて、付与の都度、取締役会において決議しています。
【社外取締役の報酬】
社外取締役の報酬は、基本報酬のみとしますが、優秀な人材を確保するためにふさわしい水準にいたします。
【監査役の報酬】
業務執行から独立の立場である監査役の報酬については、基本報酬のみで構成され、株主総会で決議された限度内において、
各監査役の職務・職責に応じ、監査役の協議により決定しております。
政策保有株式については、半期に一度保有目的に至った事業の進捗、その後の事業に与える効果等について取締役会で検証を行い、
保有の目的により得ることが期待される便益と資本コストを総合的に勘案し、
「保有の意義が必ずしも十分でない」と判断した銘柄については縮減を進めるなどしたうえで、適宜開示しています。
政策保有株式の議決権行使にあたっては、議案の内容が当社および投資先会社の企業価値向上に資するか否かの観点から判断し、
また必要に応じ当該会社との対話を実施し、議案の趣旨について確認するなどしたうえで、
議案に対する反対も含め、慎重に対応しています。
なお、当社の株式を政策保有株式として保有している会社からその株式の売却等の意向が示された場合でも、
取引の縮減を示唆することなどにより売却等を妨げるようなことは行いません。