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研究分野:発達支援研究分野

発達障がいの理解とサポート 「気になる子」のことをもっと知ろう! 幼稚園教諭 特別支援教育士 守 巧

第1回 “気になる子ってどんな子?”

2009年7月1日

どうして「気になる」のか

 まず、"気になる"という言葉から整理してみましょう。保育者は子どもの発達年齢から、その年齢に即した対応をします。当然ですが年長児に対する声掛けと年少児に対する声掛けは異なりますし、特に年少児の入園当初は、同じ年少児でもそれまでの家庭環境によって大きな差が出ます。そのような場合、保育者は保護者とコミュニケーションをとりながら、保育の一場面を切り取るのではなく、家庭環境も考慮しながらその子を立体的に見ていこうとするのではないでしょうか。このような過程を通して、保育者はひとりひとりの子どもに対する見方や接し方を工夫していると思います。

 仮にここで気になる子をA君とします。担任の保育者、もしくは保育者間で「たぶんA君はこういう子どもで今はこんな時期。こういうかかわりをすれば良いのではないか」という理解ができていれば、「気になる子」にはならないと思います。したがって保育者にとって「気になる子」とは、「よくわからない子ども」「かかわり方がわからない子」「理解するのが難しい子」ということになります。つまり「障がいがあるから気になる子ども」ではなく、「どのように接してよいかわからない子ども」に対して「気になる」という状況になると考えられます。大事なのは発達障がいであるか否かではなくて、保育者がどのようにかかわれるか、ということではないでしょうか。

「(対応に)困る子」=「困っている子」
 幼児期は、年齢的にみても発達障がいとは言い切れない子どもがいます。そのなかにも自分の気持ちを思うように伝えられない、友達とうまくあそべない、常に動いているなど日常生活をうまく送れない子どもはいます。うまくできない理由は、個性の範囲でその子自身の性格であったり、引越しや夫婦不和などの家庭環境の問題であったり、発達にアンバランスさや遅れがあったりと色々でしょう。しかし、理由はどうであれわたしたち保育者が常に念頭に置いておかなければならないことは、日常生活でうまくやれないことを気にしていて、小さな胸を痛めているのは他でもない「気になる子」本人なのではないかということです。一番困っているのは、保育者ではなく、実はその子自身なのではないでしょうか。

 私自身まだまだ未熟で、子どもと接していると子どもの行動につい感情的になり、「またか!何回同じことを!」という言葉を何度も言いそうになることがあります。しかし、戒めの気持ちを込めながらあえて書きますが、子どもの行動には必ずその子なりの"理由"があります。理由が無いわけではなく、理由を説明できないのです。「原因→結果」の因果関係が必ずあります。その子の理由はなんだったのでしょう? おもちゃを貸してもらいたかったのでしょうか? 仲間に入れてもらいたかったのでしょうか? 本人なりにいけないと思い、友達に注意したかったのでしょうか?

 自分の気持ちをわかってもらえない寂しさを抱えている子どもには、その子に寄り添う接し方が必要でしょうし、伝え方がわからない子どもには具体的に言葉にする方法を教える接し方が必要になるでしょう。その子が困っている理由を想像し、その子に合った手立てを考えていく必要があります。保育者にとって「気になる子」「困る子」は、その子にとっては困っている子」なのです。

今月の元気モリモリ先生のQ&A

Q:集団あそびのルールが理解できず、孤立してしまうのですが……。

A:集団あそびにうまく入れない子には、いくつかの原因があります。主な原因は、

  • (1)ルールそのものを覚える力に弱さをもっている
  • (2)状況を把握する力に弱さをもっている
  • (3)注意集中を持続する力に弱さをもっている

などが挙げられると思います。集団あそびは、わたしたちが思っている以上にルールが複雑なようです。まずルールを理解するための手がかりを工夫することが第一です。対応策のイメージがもてるように、具体的に「鬼ごっこ」について考えてみたいと思います。

 子どもたちのなかには、視覚的な助けがあると理解をしやすい子がいます。例えば、鬼ごっこなら“オニは帽子を裏にする”“オニはワッペンを付けて走りそれをタッチした人にはる”というようにすれば、ぱっと見て状況がわかりやすいでしょう。保育者が一緒に手をつないで逃げ、「今は○君が帽子を裏にしているからオニなんだね」など状況を実況中継風にしても良いと思います。また様子を見ながら「今は誰がオニだっけ?」と質問してみるのもいいかもしれません。

 このような工夫は障がいのあるなしにかかわらず、どの子にとってもわかりやすいところがポイントですね。そして「あそび」で一番大切なことは、「ひとりひとりがたのしんでいるかどうか?」だと思います。

第2回のテーマは"安心して子どもたちが活動できる環境の作り方"です。

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