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コラム

~鈴木寛 前文部科学副大臣が語る教育観~ 日本から世界へ 創造的復興教育を!! 鈴木寛

第1回・2回と、政策転換による変化と現在の日本の状況、及びそこで生まれつつある新しいムーブメントについてお話を伺ってきました。最終回の今回は、卒近代の流れを踏まえた今後の可能性と目指すべきものについて伺います。

第3回  創造的復興教育

──閉塞的な社会状況の中でも、熟議を通して若い世代が動き始めているというお話を伺いました。熟議以外でもこの傾向は見られますか?
すずかん氏 頼もしい若者たちは、他にもいろいろな所で大勢活躍を始めています。昨年の震災以降、被災地の中学生も素晴らしくポジティブで、新たな時代を創っていこうという意気込みにあふれています。
いまや世界史は西欧近代化を脱却し、新しい時代に入る過渡期にあると言ってよいでしょう。言い換えれば、新たな人類の歴史を創るために貴重なスタートを切る時期です。そのムーブメントの先頭に立っている若者たちは、歴史的にたいへんラッキーな世代なのです。試行錯誤を繰り返してでも、幸せで納得できる充実した人生を切り拓きながら新しい時代を建設してもらいたいものです。
また、こうした動きを更に盛り立てるべく、企業にも是非支援してほしいのです。実際、この閉塞し混沌とした社会や現代の教育について憂えている多くの企業の声も耳にします。彼らもなんとか協力したいのですが、なかなか現場には入りにくいようです。
──では、どうしたらよいのですか?
すずかん氏 発想を変えていきましょう。たとえば、これまでは大量生産―大量消費といった、共通の目的を持った企業や団体同士が協調した「コーポレーション」という考え方が主流でした。しかし、これからは異なるバックグラウンドの人々が「コラボレーション」していく時代です。教育についていえば、異なる文化をもつ民間企業と学校でも、その仲を取り持つメディエーター(つなぎ手)役を置くことで、両者がコラボして新しいアクティビティーを展開することが可能になります。
メディエーターには、NPOなど非営利団体が考えられますが、双方の出会いの場を作るとともに、それぞれの相談に乗り互いのコミュニケーションを促すような役割を担ってもらいます。社会に向けて大事なことを、時間をかけてもコツコツと伝えていく粘り強さも求められます。その点で、メディエーターは現在のセンセーショナルメディアの対極に立つものと言えるでしょう。
このメディエーターが機能することで、たとえば実社会での経験が少ない、小中学校の教員や保護者に対して、世の中はどのようなものかなど社会の常識を伝えながら、ソーシャルリテラシーの力をつけていってもらうことも可能です。
──コーポレーションからコラボレーションへの移行で、日本は今後どのような目標を掲げていくことになるでしょうか?
すずかん氏 200年振りに人類史が変わる時を迎えています。世の中の常識や幸せの法則も変わろうとしています。現に日本では昨年の3月11日以降、抜本的な意識の変換を迫られており、たとえば、エネルギーや電力を大量に使う時代は既に終わったと、この国の人々は受け止め始めているはずです。今後の道筋をどうしたらよいかと検討するためにも、今こそメディアリテラシー・ソーシャルリテラシーを育み、情報を読み解いて現実生活に生かしていくことが必要なのです。
同時に教育においても、これまでの暗記力・反復力の重視から判断力・創造力の養成へ、一斉授業から個別学習・協働学習へという、言わば学びのイノベーションが起きています。100年振りのこの劇的変化。私はこれを「創造的復興教育」の始まりと名づけたいと思います。この動きを20世紀に戻すことなく、22世紀を日本が、東北が先取りするのだという気概で進めていきましょう。そして日本だけでなくアジアへ、ひいては世界へと、このムーブメントを推し進めていこうではありませんか。
<完>

(インタビュアー:安威誠所長/ライター:車尾薫)

教育総研注:このインタビューは、2011年11月に行われました。コラム中のデータに関する数字はインタビュー時点のものです。

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鈴木 寛 (すずき・かん) 1964年、兵庫県明石市生まれ。参議院議員
鈴木 寛

灘中学・高校を経て、東大法学部卒業。卒業後、通商産業省に入省。通産官僚10年、慶應義塾大学助教授等、大学教員10年、2001年参議院議員選挙に当選。2009年9月より2年間、文部科学副大臣を務める。2011年9月、野田内閣発足に伴い、党の政策調査会副会長、文部科学部門会議座長等に就任。

コミュニティ論、メディア論、NPO論に詳しく、国会議員きっての教育通として知られる。

NPO法人日本教育再興連盟代表理事。

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