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元教育長の子育て歳時記

第1回・夏 親子で共に味わう感動体験を! 学研教育総合研究所 客員研究員 高橋良祐

日本人は古(いにしえ)から草花や生物、風や気温など、自然の移ろいや存在を敏感に感じて季節の変化を知り生きてきたと言われます。

今夏は身体も心も準備が整わないうちに早々と向日葵の季節が巡ってきました。強烈な日差しと暑さは大人には堪えますが、夏は元気いっぱい活動する子ども達に最も似合う季節と言えるのではないでしょうか。

小学校の担任をしていた私は、毎年二学期の始業式に輝くように日焼けした子ども達の表情から、一人一人が充実した夏休みを過ごした様子が感じられて嬉しく思ったものでした。その陰には子ども達の貴重な体験や思い出をたくさん作ってくださったご家庭の努力や工夫があったんだと思います。 

今回のコラムでは、してはならない体験やしてほしい体験について改めて考えてみたいと思います。

まず絶対に起こしてはならないものは言うまでもなく、命に関わる事故です。毎年この夏の季節は水の事故、山の事故、交通事故など命に直結する事故が数多く発生します。幼い命を守るのは大人の最も大切な責務であり役割です。まず、そのことに全ての大人がしっかりと認識してもらいたいと願います。

日常では味わえない体験を前にして、子供達は嬉しさと期待から心が浮き立ちます。待ちに待った楽しい体験だからこそ事故が起きないように、事前に子どもをきちんと躾ておくことが大切です。自然の美しさや楽しさと同時に、自然の厳しさや危険な行動を教え、大人がルールを守る意味と大切さを率先垂範することが極めて重要です。よく、口だけでだめだしをしている方を見かけますが、いざというときに間に合いません。

豊かな自然の中でのキャンプや登山、川や海での遊びなど多様な体験は、子どもの自然に対する興味関心を高めると共に豊かな感性や生きる力を磨き育むために貴重な場となります。特に、親子で共に味わう感動体験は子どもの心の拠り所となり、また自然などに対する絶対的な価値基準を育みます。

山に登り、親子で林の中から木漏れ日を感じる、満天に輝く星々を仰ぎ見る、海辺で小さな生き物を観察する、大きく真っ赤な夕日を見るなど何気ない体験から、子ども達は一生の宝物となる思い出が得られるでしょう。

今年も夏休みを指折り数えながら待ち望んでいた子ども達には事故なく、楽しく不思議な経験をたくさん積んでほしいと思います。そして、根をしっかりと張り、幹を太らせ、枝葉を伸び伸びと茂らせるブナの大木のように、時間を掛けて心も身体も智恵も存分に伸ばしてほしいと願っています。

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高橋 良祐(たかはし りょうすけ) 1953年栃木県生まれ 学研特別顧問、学研教育総合研究所客員研究員
高橋 良祐

東京学芸大学教育学部数学科卒業後、小学校教諭に。東村山市立秋津東小学校、世田谷区立東大原小学校を経て、町田市立鶴川第三小学校の教頭に。その後、中央区教育委員会・指導主事、港区教育委員会・指導室長、東村山市立化成小学校校長職を経て、港区教育委員会の教育長に就任。教職経験を生かし、ICTや英語教育、国際学級など、教育改革に取り組む。2012年10月に退職。

2013年4月から、学研ホールディングスの特別顧問、学研教育総合研究所の客員研究員に就任。豊富な経験から適切なアドバイスなどを発信している。

おもな著書(共著):
「新しい授業算数Q&A」(日本書籍)
「個人差に応じる算数指導」(東洋館出版)

写真撮影:清水紘子 (ひまわりイメージ写真を除く)