お役立ち教育情報 学研の俳句おにいさんが解説 読解力が伸びる! 親子で味わう俳句 第3回

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2020.09.16

27歳の若さで学研の編集者と俳人、2つの顔をもつ中西亮太が、毎回オススメの季語と俳句を紹介していくこのコーナー。第3回は、新美南吉の童話『ごんぎつね』にも登場する「彼岸花(ひがんばな)」です。

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第3回 今日の季語 「彼岸花」(秋)

岩蔭に瘦せてまたたく彼岸花
(いわかげに やせてまたたく ひがんばな)

福田甲子雄(ふくだきねお)

情感をとらえる

彼岸花は、別名を曼殊沙華といって、真っ赤な花びらや〝しべ〟が反り返った個性的な植物です。この句は、そんな彼岸花を岩かげで見つけたときの一句です。

日に当たらないせいか、彼岸花がやせ細って見えたのかもしれません。あるいは、もう枯れ始めていたのかも……。けれど、どこからか吹いてくる風に、まるでまばたきをするように、それがそよいでいたのでしょう。弱っているものが放つ、情感たっぷりな美しさが伝わってきます。

ところで、「彼岸」とは仏の世界のこと。形から名前から、彼岸花は本当に幻想的な植物です。この作品は、そんな彼岸花が「またたく」様子を描くことで、確かに存在し、命のある「生きもの」であることを改めて知らせてくれるような気がします。

つきぬけて天上の紺曼珠沙華
(つきぬけて てんじょうのこん まんじゅしゃげ)

山口誓子(やまぐちせいし)

つきぬけているのは?

広々とした空のもと、彼岸花(曼殊沙華)が咲いていることを詠んだ句です。空の青と、彼岸花の赤のコントラストが効いた、色彩豊かな作品ですね。この句を読むポイントは、「つきぬけて」をどう考えるかというところにあります(諸説あります)。

まず、注目したいのが「天上の紺」という言葉です。青みは残りつつも、夜に近づいているような空を私は想像します。そんな空が、高く突きぬけるように奥へ奥へと広がっている。一方の彼岸花は、空に向かうように、地面から突き出て、上へ上へと伸びている。

暮れてゆく空と、生命力あふれる彼岸花が触れ合うところ、言ってみれば、天と地が触れ合うところ。ここに美しさを見出した作者は、思わず俳句を作ってしまったはずだと、私は思うのです。

中西亮太の「学研の俳句おにいさんが解説 読解力が伸びる! 親子で味わう俳句」は、第1・第3水曜にお届けします! 次回もお楽しみに♪


中西亮太(なかにし りょうた)

1992年生まれ。株式会社学研プラスの編集者。大学生のとき、甘い考えでうかつに俳句をはじめる。過去に、第14回龍谷大学青春俳句大賞最優秀賞、NHK-Eテレ「俳句王国がゆく」出演など。「艀」(終刊)を経て、「円座」「秋草」現代俳句協会所属。俳句とは広く浅く長く付き合いたいと思っている。秋の作品に〈雁を追ふ首ゆつくりと右へ右へ〉。