お役立ち教育情報 あかはなそえじ先生の 院内学級の教師として学んだこと【第2回】

  • 保護者
  • 幼児
  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

2021.2.18

院内学級の教師として、赤鼻のピエロとして関わるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族との関わり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。

第2回 院内学級について

皆さんは「院内学級」と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょう。

「病気の子どもたちが通っている学級」「長期に入院している子どもたちがいる教室」などでしょうか。「明るい? 暗い?」「楽しい? 悲しい?」などなど。

全国にある病弱特別支援学校や病弱・身体虚弱特別支援学級では、文部科学書の定める『病気療養児の教育について』(※)にもとづいてさまざまな教育の保障を行っています。

そのような場所で、子どもたちは教育を受けることができます。しかし、一概に病気といっても、いろいろな病気の併発や障害の重複がある場合もあります。なによりも、医療の進歩や医療機関の方針による入院の短期化が行われ、「病気を抱える子ども」と言われる児童生徒の多くが、小中学校などに通っています。

 

小学校1年生の女の子が「いきたいな」という詩を書いてくれました。

――しゅうぎょうしきもいけなくて しぎょうしきもいけなくて ちょっといや 

ちゃんとはじめられなくて ちょっといや でもここならできる――

このお子さんは2学期の終わりに入院してきました。在籍校で終業式ができなかったため、3学期は始業式から行きたいと願っていました。でも、3学期の始業式は院内学級で過ごすことになったのです。その日に伝えてくれた言葉を詩にしてもらいました。

「ちょっといや」と伝えてくれた彼女は「ちょっと」ではなく、本当にがっかりした表情でした。退院できなかったことや病状が回復しなかったことは、誰も責めることはできません。ですが、彼女は「自分自身がダメだ」という考えを持ちます。こんな子どもたちの自尊心を育むことが、院内学級の大切な役割の一つであると考えています。

 

学びを保障する学校は子どもたちの生活の大部分を占める場所です。入院をしている子どもたちにとっても、それは変わりありません。むしろ、病気を抱える子どもたちにとって学校はよりいっそう大切な場であるため、学びを保障することはとても必要だと感じます。

私が院内学級の担任になってから、多くの人たちとの関わりの中で、教えていただいたこと、考えさせられたことがたくさんありました。

●個に応じた学習 ●少人数でも可能な社会性の発達の保障 ●二次的障害や学校不適応への対応 ●様々な障害をもつ子どもへの関わり ●トラウマを持つ子どもへの関わり ●傷つきへの対応 ●自尊感情を育む ●疾病への理解 ●保護者との関わり ●医療スタッフとの連携、コーディネート ●他校の先生との関わり などなど。

このような課題に対してどのような取り組みをしていけばよいのか、試行錯誤するなか「病弱教育の専門性」についてずっと考えてきました。病弱教育に携わる先輩方から知恵をいただいたり、病院のスタッフと協力したりしながら……。その中で見えてきたことをこれから皆さんにお話して、少しでもお役にたてればと考えています。

第1回はこちら

※病気療養児の教育の意義については、『病気療養児の教育について』(1994年文部科学省通知)に「学習の遅れの補完や学力の補償」「積極性・自主性・社会性の涵養」「心理的安定への寄与」「病気に対する自己管理能力」「治療上の効果等(教育の実施は、病気療養児の質<QOL=クオリティ・オブ・ライフ>の向上に資する)」と明記されています。


あかはなそえじ先生

あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

昭和大学大学院保健医療学研究科准教授、昭和大学附属病院内学級担当

1966年、福岡県生まれ。東京都の公立小学校教諭を25年間務め、1999年に都の派遣研修で東京学芸大学大学院にて心理学を学ぶ。2006年より品川区立清水台小学校教諭・昭和大学病院内さいかち学級担任。2009年ドラマ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)のモチーフとなる。2011年『プロフェッショナル 仕事の流儀「涙も笑いも、力になる」』(NHK総合)出演。2014年より現職。学校心理士スーパーバイザー。ホスピタルクラウンとしても活動中。

あかはなそえじ先生の「ひとりじゃないよ」

ひとりじゃないよ好評発売中

四六判・全248ページ

1400円+税

学研教育みらい刊