お役立ち教育情報 【あした、親子で読みたい本】日本の伝統芸能に親しむ本 3選

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2021.1.7

 子どもの時に読んで感動した本は、大人になってもずっと心に残るもの。子どもたちが、自分だけの宝物になるような一冊に出合えるように、おすすめの絵本や読み物を元書店員でありJPIC読書アドバイザーの市川久美子さんにご紹介いただきます。


 日本の伝統芸能には落語・能・歌舞伎・狂言・浄瑠璃・講談等々があります。実際子どもと観に行くには難しいものもあるかもしれません。書籍で知ってもらうのもいいでしょう。落語・能・歌舞伎で扱っているお話を紹介します。
 「講談えほん」も今人気の神田松之丞 (六代目神田伯山)監修で講談社から6冊出ています。今後も出版予定のようです。今回は紹介できませんでしたが、リズムのある講談はきっと子どもたちにも届くでしょう。伝統芸能をもっと身近に感じたい。伝統芸能のすばらしさを伝えていきたいものです。

 

『落語絵本4 じゅげむ』(クレヨンハウス)

 小学校の教科書にも掲載されています。実際に落語でこのお話を聞いてご存知という方も多いと思われる「じゅげむ」。ある夫婦に男の子が生まれ、つける名前がなかなか決まりません。そこで和尚さんに相談します。長生きの名前は「寿限無」、他には「 五劫のすりきれ」、「海砂利水魚」と次々と和尚さんは名前を教えてくれます。男はその中から名前を決めることに して帰りますが、すべての候補を男の子の名前にしたものですから、長~い名前になってしまいました。「寿限無寿限無、五劫のすりきれ海砂利水魚………長久命の長助が喧嘩をしている」と、伝えるにも時間がかかります。
 この名前を言ったり、聞いたりするだけでも楽しいです。(対象:4 歳~)

作・絵:川端 誠
出版社:クレヨンハウス
定価:1,400円+税
商品詳細:『落語絵本4 じゅげむ』(クレヨンハウス商品ページ)

 

『天鼓 天からふってきた鼓』(BL出版)

 能の演目「天鼓」の絵本。子どもが欲しい夫婦は仏さまに毎日お願いをしていました。しばらくして男の子が生まれ「天鼓」と名付け、そのあと空から鼓がふってきました。すくすくと育った天鼓が鼓を打つとそれは素晴らしい音色を奏で、だれもがうっとりするほどでした。
 このことを耳にした帝は、鼓を自分のものにしたがります。家来たちが天鼓のところに来ましたが、天鼓は鼓を抱えて山の中に逃げていきます。しかし、見つかってしまった天鼓は 河に沈められます。鼓は帝の手に渡りますが、奏でることはありませんでした。帝は考えあぐねて父親に打たせることに。すると美しい音色を奏でました。天鼓を、沈めた河のほとりで弔うことになり、楽師たちがそれぞれの楽器を奏でました。音楽にひかれて天から天鼓が現れます。天鼓はやっと鼓と再会します。(対象:4 歳~)

作:片山清司
絵:小田切恵子
出版社:BL出版
定価:1,600円+税
商品詳細:BL出版 公式サイト

 

『橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻(1) 仮名手本忠臣蔵』(ポプラ社)

 歌舞伎は子どもたちには敷居が高いでしょうか。日本の歴史を学ぶ 6 年生ころになると物語を想像しやすいかもしれません。
 内容は割愛しますが、なんといってもこの絵本は絵のすばらしさに目を見張りました。この芸術は、子どもから大人まできっと届くと思います。子どもは芸術性の高いものを理解する力があると、子育てや文庫活動の中で子どもたちを見てきて感じました。むしろ大人よりもあると思います。(対象:小学校高学年~)

文/橋本治
絵/岡田嘉夫
出版社:ポプラ社
定価:1,600 円+税
商品詳細:『橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻(1) 仮名手本忠臣蔵』(ポプラ社商品ページ)

 


市川 久美子(いちかわ くみこ)
元書店員。JPIC読書アドバイザー。1981年地域文庫の立ち上げに携わる。後に家庭文庫も開く。同じ小学校で15年以上読み聞かせ・語り・ブックトークを行い、作家さんなどの授業も15年企画。市立図書館・中学校図書館勤務の後、1999年より大型書店児童書担当として20年勤務。退職後は、児童書関連の執筆・講演を行う。著書に『ねんねのうた』(佼成出版)がある。