お役立ち教育情報 子どもたちの“今”を見つめる 第3回「日本の不登校と、今、子どもにできること」

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2020.10.22

子どもたちの“今”を、様々な切り口から見つめる連載企画。今回は、これまでの話をふまえ「子どもが学校に行きたくない時の接し方」と「親が今、子どもにできること」についてお伝えします。

・第1回「休み明けの登校しぶりはなぜ起こる?」
・第2回「コロナ禍で見えてきた、子どもたちが学校生活に求めること」

 

近年の日本の「不登校」について教えてください。

不登校はここ5、6年で急激に増えました。この増加傾向については、学者や専門家の中も分析しきれていないところがありますが、「世間が学校を休む子の味方につきはじめた」ことが、理由の一つとしてあるのではと思います。2013年に制定された「いじめ防止対策推進法」を皮切りに、テレビや新聞でいじめ・不登校の特集が組まれ、日本の社会課題として認識されるようになりました。そうした中で、だんだんと「つらかったら学校に行かなくてもいいよ」という風潮が見られるようになりました。
『かがみの孤城』(ポプラ社)という本が2018年本屋大賞を受賞しましたが、この作品の中には不登校の中学生が登場します。こういった作品を、実際に不登校に関わったことのない多くの人たちも高く評価していることから、日本社会全体で「不登校」に対する認識や意識が変わってきているように思います。

子どもがある日「学校に行きたくない」と言い出したら、どうしたらいいのでしょうか。

まずはシンプルに、「何かいやなことでもあった?」と聞くところから始めればよいと思います。それで具体的な理由が子どもの口から出てくればよいですが、なかなか出てこない場合は無理に問い詰めないようにしましょう。というのも、「なんとなく不安だから行きたくない」など、本当になぜ行きたくないのかわからない場合もあります。まずは、子ども自身がどんな気持ちなのかを受け止めることが大切です。
そのうえで、子どもがどうしたいのかを聞き、「やっぱり行ってみようかな」「今日は休む」など、子どもの判断を尊重するのが基本です。いつまでも悩むようなら、「頑張って行ってみて、途中でつらくなったら電話して」など、親から提案してみてもいいかもしれません。
とはいえ、忙しい朝に「学校に行きたくない」と言われると、親としてはついカリカリしてしまうことがあると思います。子どもとじっくり話して原因を探るのは大事ですが、そもそも学校側で何か思い当たることがある場合もあるので、早いうちからスクールカウンセラーに相談することも大切です。

最後に、このコロナ禍で親が子どもにできることは、どんなことがあるでしょうか。

生活や環境が変化しても、子どもが「楽しいこと」を見つけてチャレンジできるよう、サポートすることが大切だと思います。今回のコロナで様々なイベントが中止になり、生活に制限ができました。しかし、そんな中にあっても「料理を始めた」「絵を描き始めた」「部屋の模様替えをした」など、新しいことを始めた子どもも多くいたようです。
子どもは傷つきやすいですが、同時にとてもたくましく、しなやかで、場面によっては大人より適応力があります。「これができないなら、これで遊ぼう」など、代わりの楽しみを見つけるのは、大人より子どものほうがうまかったりします。中止や制限があることは残念だけれど、今の生活でできる「新しい楽しみ」を子ども自身が見つけられるよう、親はそばで見守りながらサポートし、時には親子一緒に楽しむことが大切だと思います。

 


松尾直博(まつお なおひろ)
東京学芸大学教授。1970年福岡県生まれ。1998年筑波大学大学院博士課程心理学研究科修了。博士(心理学)。1998年東京学芸大学教育学部助手。講師、准教授を経て2018年より現職。公認心理師、臨床心理士。学校心理士。特別支援教育士スーパーバイザー。主な編著として、『コアカリキュラムで学ぶ教育心理学』(培風館)、監修として『絵でよくわかる こころのなぜ』(学研プラス)などがある。