お役立ち教育情報 子どもたちの“今”を見つめる 第2回 「コロナ禍で見えてきた、子どもたちが学校生活に求めること」

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2020.10.8

子どもたちの“今”を、様々な切り口から見つめる連載企画。今回は、「コロナ禍で見えてきた、子どもたちが学校生活に求めること」について、学校での子どもたちの様子の変化にもふれながら、引き続き東京学芸大学教授の松尾直博先生にお話をうかがいます。

・第1回「休み明けの登校しぶりはなぜ起こる?」
・第3回「日本の不登校と、今、子どもにできること」

 

学校が再開してから数か月がたちました。コロナ前と比べて、学校での子どもたちの様子に何か変化は見られたのでしょうか。

現場の先生からは、ソーシャルディスタンスによって、「押した」「たたいた」「ぶつかった」などの子ども同士のトラブルが減ったと聞いています。また小学校高学年~中学校では、学校に行くのがつらかった子どもが、分散登校で学校に行きやすくなったという話を聞きました。「マスク着用」「給食の時はしゃべってはいけない」「短縮授業」など制限付きの学校再開は、人とのコミュニケーションがわずらわしい子にとっては、気が楽だったようです。コロナ禍での生活の変化は、悪化ととらえられることが多いですが、生活や学校との向き合い方を変える良い機会になった子どもたちもいます。
しかし、6月の休校明けにはTwitterに「学校だる」というワードがトレンド入りしていました。中高生が主だと思いますが、学校に行きたい子ばかりというわけでもありません。

ケース・バイ・ケースで、一概には言えないですね。

特に大学生は顕著で、「対面で授業を受けたい」という学生と、「ずっとこのままリモートがいい」という学生の両極端に分かれています。対面授業や友人と過ごすキャンパスライフに価値を感じている学生もいれば、通学が面倒で家で授業を受けたほうが楽という学生もいます。今回の休校と学校再開は、子どもたちの中で「物理的に学校に通うこと」についての意味や価値を見つめなおす機会になったと思います。

子どもそれぞれが学校生活のどこに価値を感じているか、ということでしょうか。

不登校の対応でもそこを重要視しています。今回リモート授業の体制が一気に整ったことにより、学校側も今後子どもたちにどう学校の価値を提供していくか、考える必要が出てくると思います。

近年、通信制高校の人気がじわじわ上昇しており、現在は高校生のおよそ17人に1人が通信制の高校を選んでいます。今回の新型コロナウイルスによる休校でも、リモート授業の環境がすでに整っている通信制高校は、スクーリングの日程に変更があったものの、普段と変わりなく授業を行っていました。

通信制高校に通う子どもたちは、どこにその価値を感じているのでしょうか。

学習面においては、やはり「自分のペースで進められる」のが魅力的なようです。得意科目は早く進められるし、じっくり学びたい場合はゆっくり進めればいい。集団での一斉授業のようにペースをまわりと合わせる必要がなく、そうして空いた時間を好きなことに使うことができます。実際に通信制高校に通っている子どもたちに話を聞くと、プログラミングや音楽活動、家族のサポートや家事をしたり、検定を受けたりと、勉強以外のことにも精力的に取り組んでいます。

また、通信制高校ではオンライン上での部活動や交流が盛んなところもあり、「いつもはネットでやり取りをしている友達と、たまに外で会って遊びに行く」くらいの距離感のほうが、自分に合っていると話す子もいました。そうした勉強以外での「人との距離」に、価値を感じている場合もあるようです。

 

第3回「日本の不登校と、今、子どもにできること」に続く


松尾直博(まつお なおひろ)
東京学芸大学教授。1970年福岡県生まれ。1998年筑波大学大学院博士課程心理学研究科修了。博士(心理学)。1998年東京学芸大学教育学部助手。講師、准教授を経て2018年より現職。公認心理師、臨床心理士。学校心理士。特別支援教育士スーパーバイザー。主な編著として、『コアカリキュラムで学ぶ教育心理学』(培風館)、監修として『絵でよくわかる こころのなぜ』(学研プラス)などがある。