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研究分野:発達支援研究分野

発達障がいの理解とサポート 「気になる子」のことをもっと知ろう! 幼稚園教諭 特別支援教育士 守 巧

第11回 今月の事例『友だちに乱暴をしたり、かんしゃくを起こすB君』

2010年8月13日

「なんでこんなことで怒るのだろう」「急にどうしたの?」と感じ、ちょっとしたことでかっとなったり、大きな声を出したり、物に八つ当たりしたりする子どもの対応に困ってしまうことがありませんか。このタイプの子どもは、クラスの友だちとのトラブルも多く、場合によっては他の保護者から苦情を受けることもあります。保育者は十分に気を配り、配慮することが求められます。では具体的にどのように関わっていけば良いのでしょうか。 

今月の事例『友だちに乱暴をしたり、かんしゃくを起こすB君』

B君は、年長組に進級した頃は友だちに「サッカーやろうよ」「カルタやる人!」と遊びに誘っていました。元気があって、かけっこがはやいこともありいつも友だちの輪の中心にいるような子どもでした。

しかし、一方的にルールを変えたり、自分が負けるとわかると途端に乱暴になったりして友だちとのトラブルが多くなっていきました。その結果、1学期が終わるころには「B君、すぐ怒るから一緒に遊びたくない」「B君が怖い」と友だちから言われるようになってしまい、孤立することが増えました。

また、その頃から、気に入らないことがあると「やらない!」「やっぱり失敗したじゃん」と言ってかんしゃくを起こすようになっていきました。先生がなだめようとしても余計に「うるせえ!」と言って乱暴な言葉を繰り返します。最近では「みんな俺のことが嫌いなんだ」「どうせ、俺なんか」と自分を責めるような発言が目立ってきました。

みなさんのクラスにもこんな子はいませんか?

皆さんはこのようなお子さんにはこのような対応をしますか?考えてみてください。
  • 「叩いたほうが悪い」とB君を叱責する。
  • 経験から学んでほしい、とB君が自分の行動を振り返るのを待つ。
  • クラスメイトのB君への発言を叱責する。
    (ex.「そんなこと言わないの。○○君はそういうこと言われて嬉しい??」)
  • 友だちにB君の言動を受け入れるよう説得する。
    (ex.「今は我慢してね」「やさしいとこもあるんだから、そんなに嫌がらないで」)
B君はどうしてそのような姿なのでしょうか?
  • コミュニケーションがうまくとれないため、自分の思いを言葉で伝えられない。
  • 友だちの表情(気持ち)や『場』の状況を理解できないので、友だちが嫌がることを平気でやってしまう。
  • 感情や行動をコントロールする力が弱いため、すぐ手が出てしまう。
  • 周囲の情報や刺激をうまく受け流すことができないため、友だちには些細なことも大きく感じ、過剰に反応してしまう。
  • これまでのトラブルなどから満たされない思いが積もり、すぐにイライラしたり、自分を大切にする気持ちが持てなくなっている。

などが挙げられるのではないでしょうか。皆さんはどう思いますか?

さて、この様な子は、どんな子なのでしょうか。
B君を保育しながら、私なりに対応を考えてみました。

【手立て&ヒント】
このような子どもは、実は年長組以前から落ち着きが無く、園でも家庭でも叱責される回数が多いことが挙げられます。よく観察をすると友だちを叩いた後や保育室から出て行ってしまった後「しまった・・」という表情を浮かべていることが多くみられます。

○トラブルになっている際は、まず子どもたち同士を引き離しましょう

まず、その場から離れてからB君が落ち着いてから「さっきはどうしたの?ごめんなさい、が言えるといいと思うよ」などと穏やかな口調で話を聞きましょう。どうしてそのような状況になったのかを『振り返る』場をつくります。可能ならば『どうすれば良かったのか』を一緒に考えます。
なお、興奮している時は、先生や友だちの制止の言葉が逆に刺激してしまい、気持ちが高まってしまうことがあります。場所を変えると、気持ちも静まることが多いです。

○衝動的な行動には園内の支援体制をつくり対応する

興奮が強くなるとその勢いのまま保育室を飛び出します。そのような場合は担任一人では対処できないことがあります。職員会議でB君の情報を共有したうえで『「B君が出て行きました。宜しくお願いします。」or「B君を追いかけますので、○○組をお願いします」』と連携をとれる体制をつくっておきましょう。

○スムーズに対応するために情報を集めましょう

どんな時に乱暴になることが多いのかを記録をとり、予防できるようにしましょう。また、自分や友だちを傷つけるような行為や危険な行動には毅然とした対応を心がけ制止しましょう。

○自尊感情を高めるようにしましょう

失敗や不注意などで、周囲から叱責を受けることが多く、自分を大事にする気持ちが少なくなっています。B君には「できた!」と感じられるような体験を意図的に増やしていきましょう。あわせて、活動の際の見本になってもらったり、(事前に練習してから)責任のある係をやってもらうなどクラスメイトからの評価を高める配慮も必要でしょう。クラスメイトからの評価を高める視点がないとB君とクラスメイトとの距離は離れていく一方だということを頭に入れておく必要があるでしょう。

○家庭と協力して叱責の数を減らす

 『園でも怒られて、自宅に帰ってきても怒られる』という園でも家庭でも居場所がなくなるケースがたくさんあります。前述しましたが、乱暴な言動や衝動的な言動に、本人も「しまった・・。またやってしまった」という気持ちが少なからずあります。つまり、叱責する前に本人も「いけなかったこと」がわかっていることが多くあります。
そこで、担任は「今日、○○ということがありました。しかし、B君と話して次は言葉で伝えよう一緒に考えました。家では叱らないくださいね」と伝えましょう。
そして言葉で表現できた時は、大袈裟なぐらい褒めましょう。実はこれが一番大切なことかもしれませんね。

次回の事例は"『当番活動をすると何をしたら良いかわからなくなる』 "です。

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