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元教育長の子育て歳時記

第4回・陽春 春の息吹と子どもの記録 学研教育総合研究所 客員研究員 高橋良祐

春の柔らかな光を浴び、優しい風にゆられながら、それぞれの彩りや姿を誇るかのように、草花は美しく個性的に花を咲かせています。草花は、暦よりも的確に、私たちの心に季節の移ろいを感じさせてくれます。

日本の春は新入学、進級の季節でもあります。わくわくするような期待と少しの不安を抱きながら、校門をくぐった新入生たちも、そろそろ学校生活にも慣れ、楽しく充実した毎日を満喫しながら登校していると思います。子どもたちが新しい友と日々の授業や課外活動を元気に、生き生きと取り組んでほしいと願っています。

さて、入園、入学式の当日は、様々なビデオやカメラで子どもたちの様子をたくさん記録した親御さんが多いことと思います。現代のデジタル技術の発達は本当に目覚しく、名刺サイズのデジタルカメラでも高画質の写真や動画を手軽に数多く記録できます。三十年前、私が子育て真っ最中のビデオカメラは肩に担ぐほどの大きさで、アナログ方式で編集も簡単ではありませんでした。

現在は、私でもスマホで初孫の写真や動画を撮ることが日常的な楽しみになっているほど、いとも簡単に撮影できます。数年前、我が子が家庭を持った際に、誕生から成人するまでの成長の記録をプレゼントしようと、当時のビデオを少しずつデジタル化しながら編集したことがあります。

その膨大な編集作業を通し、当時の親としての自分の姿や思いを振り返ったものです。生まれたばかりの赤ちゃんに、自分が父親であることを認識させようと、しきりに語り続けている姿。三歳になったばかりの幼稚園の運動会で、演技はしないと泣いている息子の姿をがっかりしながら撮り続けていた切ない思い。リレーで走っている我が子よりも必死になって大声で応援している姿、などなど見ているときりがありません。

いま子育て真っ最中の皆さんもさまざまな思いで記録をとっていることと思います。私は、記録の有難さを今しみじみ実感しています。そこには、少しずつ確かに成長してきた子どもたちの足跡がはっきり記されているからです。と同時に曖昧な記憶が繋ぎ合わされ、若き日々に味わっていた感情が蘇ってきます。

子育て中は子どもの早い成長を期待しがちです。他と比較して不安を感じやすいものです。子どもたちには、それぞれの成長の仕方や早さがあります。大空に向かって一直線に伸びるように見える若竹すら、一つ一つの節の長さは異なります。

幼かった子どもたちの写真などをお子さんと一緒にご覧になってください。確実に一歩一歩成長したわが子を頼もしく誇らしく思えるはずです。そして、子どもに語りかけてほしいと思います。「大きくなったね。」「いろいろできるようになったね。」「これからも自分らしく元気に生きていってね。」「お父さんお母さんは、あなたを心から応援しているよ。」

これからも、皆さんとご一緒に子どもたちの健やかな成長を見守り続けたいと思います。皆さん子どもたちの応援団になりましょう。

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高橋 良祐(たかはし りょうすけ) 1953年栃木県生まれ 学研特別顧問、学研教育総合研究所客員研究員
高橋 良祐

東京学芸大学教育学部数学科卒業後、小学校教諭に。東村山市立秋津東小学校、世田谷区立東大原小学校を経て、町田市立鶴川第三小学校の教頭に。その後、中央区教育委員会・指導主事、港区教育委員会・指導室長、東村山市立化成小学校校長職を経て、港区教育委員会の教育長に就任。教職経験を生かし、ICTや英語教育、国際学級など、教育改革に取り組む。2012年10月に退職。

2013年4月から、学研ホールディングスの特別顧問、学研教育総合研究所の客員研究員に就任。豊富な経験から適切なアドバイスなどを発信している。

おもな著書(共著):
「新しい授業算数Q&A」(日本書籍)
「個人差に応じる算数指導」(東洋館出版)

イメージ写真:学研・写真資料センター
写真撮影:小板直樹

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