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陰山英男コラム

~立命館大学教授・立命館小学校副校長が語る教育観~ これからの学校教育の本格改革に向けて ~学校の閉鎖性に風穴を開け、時代に合った学校のあり方を考える~ 陰山英男

先回は、目下の学校現場の状況と校長による改善の方向性についてうかがいました。最終回の今回は、これまでのお話を踏まえて、学校教育改革に向けた地域連携についてうかがいます。

インタビュアー:学研教育総合研究所フェロー 安威 誠

第3回  地域と連携して改革推進を

──学校現場の閉塞状況という中で起きたのが大津の「いじめ」問題でした。ここからどんなことが見えてきますか。
陰山先生問題なのは教育基本法が規定する「教育の第一義的責任者は親である」という点が飛んでしまったことです。法的には、いじめを起こしたのは、加害者の親の責任ですが、今回はいじめを見つけ指導する二次的責任者の教育委員会や学校の対応があまりにもひどいため、教育委員会の存在が問われる議論となりました。確かに教育委員会は改革が必要ですが、教育委員会を無くしたらいじめは無くなるかと考えれば明白なように、直接リンクしている話ではないのです。
大事なのは、教育委員制度だけでなく教職員の免許更新制や教職員研修制度、そのほかの事柄についても本当の問題点と世の中で問題とされているものの間の乖離に気づくことなのです。例えば一時批判された「手つなぎ運動会」。実際には幾つの学校で行われたのでしょう。実例は殆ど聞きません。また、勉強のさせすぎで子どもの心が荒れると言われますが、実際に荒れているのは勉強をしない子です。つまり、事実とかけ離れた事柄が広く信じ込まれているのです。
──なぜ乖離が生じるのですか。
陰山先生現実を見ない、勝手な思い込みのせいでしょう。そしてこの事実誤認から改革を進めるから、やればやるほど事態は悪くなるというわけです。
目下の制度では、国の予算が地方に渡っても地域首長の考えを無視できません。せっかくの学校図書館費もコンクリートに変わるかもしれない。首長の理解度で教育の在りようが変わるということです。おまけに各地の教育委員会は文科省の言うことしか聞きませんから、地方ごとで教育的事項を決めていくということはあり得ないのです。
──教育にも道州制を取り入れるということでしょうか。
陰山先生少なくとも教育は地方に委ねるべきでしょうね。それが現場・現実を見ることになるのです。教育委員会についても道州制の中で徹底的に議論して、存在の可否を決めていったらよい。教育長の責任も明確化した上で、学校運営協議会のような、地域保護者の代表が社会の思いを学校に投入していくという形が望ましいと考えます。学校に寄り添うものとして地域の力を活用していきましょう。NPOや種々の財団、企業など教育に関わる、学校以外の人々が学校に働きかけることです。同時に授業研究や参観を通して、教師や保護者による教育評価を活発にしていきたいものです。
内外からの改革でこそ、最大の問題である学校現場の閉鎖性という岩盤を突き崩すことができるのです。地域連携してこの教育改革に加わる若い世代も増えており、岩盤に開いた風穴から光が射すのもそう遠い日ではないと期待しているのです。
──ありがとうございました。
このインタビューは2012年10月13日に行われました
(ライター:車尾薫)

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陰山 英男(かげやま・ひでお) 1958年兵庫県生まれ。立命館大学教授・立命館小学校副校長
陰山 英男

岡山大学法学部卒。兵庫県朝来(あさご)町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から反復練習で基礎学力の向上を目指す「陰山メソッド」を確立し脚光を浴びる。2003年4月尾道市立土堂(つちどう)小学校校長に全国公募により就任。百マス計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やコンピューターの活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子供たちの学力向上を実現している。

立命館大学 教育開発推進機構 教授(立命館小学校副校長兼任)。
文部科学省・中央教育審議会 教育課程部会委員。
大阪府教育委員会教育委員。
NPO法人日本教育再興連盟理事。

著書: 「早ね早おき朝5分ドリル」(学研教育出版)
  「テストの点が上がる練習テスト」(学研教育出版)
  「学力は1年で伸びる!」(朝日新聞出版)
  「子どもの学力に不安を感じたときに読む本」(小学館) ・・・他多数
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